『AFTERNOON TEA JOURNAL』は、心の贅沢を愉しむ方々をゲストにお招きし、生活をちょっと豊かにするアイデアやインスピレーションをお届けするライフスタイルメディアです。

今回のゲストは、猫への愛を発信し、猫とともに生きる豊かさを啓蒙するプロジェクト『Cat’s ISSUE』を主宰するディレクターの太田メグさん。Afternoon Tea LIVINGとのコラボレーションライン「Cat’s NapTime(キャッツ・ナップタイム)」は今年11回目に突入。プロジェクト設立の経緯や活動内容、コムタンとの出合い、猫や仲間たちとともに子育てに勤しむライフスタイルなど、全8回にわたってお届け。第3回目は、太田さんたちがユーザーに喜んでもらうために『Cat’s NapTime』でこだわっていることや創意工夫についてうかがいました。

ユーザーの
「好き・可愛い・ほしい!」と
真摯に向き合う

ほかの企業やブランドとも多くのコラボを重ねている太田さんら『Cat’s ISSUE』チームですが、なかでもAfternoon Teaとの協業プロジェクトである『Cat’s NapTime』にかける情熱と時間は特別なもの。過去の作品アーカイブから人気のものをピックアップして商品化する通例のアプローチではなく、毎シーズン、太田さんたちが1から考案した完全オリジナルストーリーとアートワークをもとに、関係者全員が一丸となって商品開発。時勢を挟みながら、猫たちとの物語をていねいに紡いでいます。
「『Afternoon Teaのお客さまは、こういうテイストがお好きだろうな』というユーザー嗜好が可視化しやすく、私たちのご提案との親和性がとても高いんです。フルーツやお花など、みなさまに喜んでいただけそうなモチーフに、私たちのコンテンツである猫の要素が加われば、間違いなくとても可愛いものができます」

過去10回にわたる協業のうち、特に思い入れがあったのが、2023年2月にリリースされた9thコレクション“Warm with Cats”。『猫はどうやって人間を温めるのか』をテーマに、猫の足型スリッパや『Cat’s ISSUE』の猫メンバーたちの顔をモチーフにしたワッペンつきのグローブなど、猫の特徴をそのまま連想させるようなふわふわのあったかアイテムを数多くラインナップ。
2023年冬に復刻したクッションブランケット。
何かを言いたげにこちらをじっと見つめるサバ美

なかでも特に思い出深い商品が、丸まって温まるサバ美(坂本美雨さんの愛猫)やコムタン(太田さんの愛猫)を描いたクッションブランケット。コレクション初期のアイテムですが、再販を望むユーザーからの声に応え、9thのリリースに合わせて復刻。広げてブランケットに、たたむとクッションになる2WAY商品です。
「私たち親子も、美雨さん親子も子育て中に使っていた、とても愛着のある品です。ふわふわした風あいで、暖かく包んでくれるというブランケットの特徴が猫そのものの生態とリンクして、大切に使ってくださるお客さまがとても多かったんです。ある時、水害で被災したという方から『大事にしていたコムタンのクッションブランケットが流されてしまってすごく悲しい。どうか再販してもらえないか』とメッセージをいただいて、アートワークをリニューアルして復刻にこぎつけました」

鈴つきタグには、『Cat’s NapTime』にかける太田さんの
情熱がギュっと詰まっています

ノベルティやオリジナルショッパーなど、販促物にこだわれるのも『Cat’s NapTime』ならではの利点だそう。第1弾から継続しているのが、猫の代名詞ともいえる鈴をつけた商品タグです。
「すべてのコレクションアイテムに、シーズンごとのテーマカラーを踏襲した鈴つきのタグをつけています。買ってくださるお客さまに、猫と同じように私たちの商品を大切に使っていただきたいという思いを込めました。コストはかかりますが、あきらめずにずっと続けていただいている、私たちならではのこだわりです。商品開発以外にも、お客さまに喜んでいただけそうなプロモーションを一緒に考え、実現してくださるAfternoon Teaとの協業は本当に楽しいんです」

二頭身とリアルサイズ。
絵の具のタッチ。
美術家ならではのこだわり

『Cat’s NapTime』は、猫と一緒に“秘密のお茶会”に入会するという、ファンタジックな世界観の中で紡がれるストーリーが主軸。登場する猫たちのアートワークをよく見ると、リアルな猫のスタイルをモチーフにしたものと、二頭身にデフォルメしたもの、2通りのフォルムがあることに気がつきます。
4thコレクションのミニ絵本ノベルティ「FLORIST Cat's NapTime」に描かれた同じサイズの猫と人間

「『Cat’s NapTime』の世界では、猫と人間は対等な存在として設定。ともにお茶会を楽しむファンタジー要素が強いコンセプトを採用する商品では、両者のサイズが対等になるように描いていて、猫は二頭身。クッションや陶器など、本物の猫の特徴や生態に寄せて開発する商品は、人間と暮らしているリアルな猫のフォルムやサイズ感がモチーフとなっています。コロナ禍中に手がけた8thコレクション“Morning Routine”以降は、商品に合わせて2種類のフォルムを採用するミックス提案が多くなりました。ステイホームの時期、猫がいる家では、猫と一緒にいられる時間が長くて幸せだったのかもしれませんが、コロナ禍での生活そのものが非現実的でしたよね。家の中に引きこもるムードが強かったので、時勢とうまく関わりながら、ストレスをなるべく溜めず、猫と一緒にリラックスしながら毎日の生活を楽しもうと、ポジティブな表現を心がけました」

上を向いてひっくり返る猫のしぐさをモチーフにした
陶器製のフラワーベース

立体造形を得意とする太田さんが、特にこだわって開発しているのが陶器製品。猫のリアルな生態をモチーフに、自ら粘土で原型を作っています。
「これは、猫の“撫でたい”ポイントのひとつであるお腹の上にものをのせたら可愛いだろうな、と思って作ったフラワーベースです。オリジナル陶器製品を作るには、金型制作と大量ロット生産が必要なため、相当なコストを覚悟しなければなりません。日本全国に100以上の店舗を持つAfternoon Tea LIVINGの事業規模なら、それが可能なんです」
「猫は、ほかの動物に比べてマズル(口のまわりから鼻先にかけての部分)が小さかったり、額が狭かったりするので、キャラクター化しようとすると必要以上にデフォルメしがち。猫の素朴な可愛らしさをそのまま生かしながら、陶器になった時に映えるよう、納得がいくまで何度もやりとりをさせていただいています。スケジュールがギリギリになってしまったり、ドロップせざるを得ない商品もあったりしてご迷惑をおかけしている面も多々ありますが、せっかくの特別なプロジェクトなので、猫らしさにこだわり、心をこめて作らせていただきたいんです

実在する猫をモデルにクラシカ
ルな雰囲気で仕上げた『Cat’s
NapTime』のアートワーク

可愛らしかったり、ちょっと大人びた表情だったり。『Cat’s NapTime』のコレクションに登場する猫たちは実に表情豊かで、まるで本物の猫がそこにいるかのように、私たちの目を楽しませてくれます。アートワークは、筆と絵の具を用いたアナログ手法で描かれています。
猫はとても神秘的な生き物。つかみどころのなさが魅力ですから、絵の具と筆による繊細なタッチで描写するほうが、猫が生き生きと表現できるんです。今は何でもデジタルで描けてしまう時代ですが、実在する猫の息づかいを思い浮かべながら、誰かが少しずつ絵の具を混ぜて筆を運んだようなニュアンスたっぷりの表現をとても大切にしています。開発過程でイメージ通りの色が出ない場合は、何度もやり直し対応をしていただいています」
そんな太田さんらと綿密なコミュニケーションをとりながら修正に対応し、ともにプロジェクトを進めるAfternoon Tea LIVINGとのチームワークのよさも、『Cat’s NapTime』が10年以上続いている理由だといいます。
「キッチン雑貨・陶器・ステーショナリー・ファッション雑貨など、それぞれの分野に専門のチームがいて、みなさんにマスターアートをお渡しし、意見交換しながら商品開発を進めています。各々がユーザーニーズと照らし合わせながらこだわりのアイデアを次々と出してくださるので、そのやりとりがとても楽しく、やりがいがあります。まるで猫たちが私たちのご縁をつないでくれているよう。10年間で築いてきたかけがえのないチームワークを礎に、今後もぜひ続けさせていただきたいです」

2月5日(水)に公開される連載第4回目は、いよいよ発売となる『Cat’s NapTime』11thコレクションの
コンセプトやこだわったポイント、太田さんお気に入りのアイテムなどをご紹介します。
ぜひお買い物の参考にしてくださいね。

記事一覧へ戻る
前の記事
Part2
「Cat’s NapTime」の歴史について
次の記事
Part4
11thコレクションの開発背景