『AFTERNOON TEA JOURNAL』は、心の贅沢を愉しむ方々をゲストにお招きし、生活をちょっと豊かにするアイデアやインスピレーションをお届けするライフスタイルメディアです。
今回のゲストは、猫への愛を発信し、猫とともに生きる豊かさを啓蒙するプロジェクト『Cat’s ISSUE』を主宰するディレクターの太田メグさん。Afternoon Tea LIVINGとのコラボレーションライン「Cat’s NapTime(キャッツ・ナップタイム)」は今年11回目に突入。プロジェクト設立の経緯や活動内容、コムタンとの出合い、猫や仲間たちとともに子育てに勤しむライフスタイルなど、全8回にわたってお届け。第1回目は『Cat’s ISSUE』についてご紹介します。
愛猫コムタンや息子のセコムくん、そしてミュージシャンの坂本美雨さんら猫仲間たちとの暮らしぶりをInstagramで発信している太田さん。2024年12月現在、約12.5万人ものフォロワーを抱える、猫SNS界隈のトップランナーです。
「コムタンは、独身時代から一緒に生きてきた私の永遠の相棒です。ブリーダーが集まるインターネット上の掲示板で『血統書つきで予防注射も済んでいるけれど、ヘンな模様だからペットショップに売れなかったスコティッシュフォールドの仔猫』として掲載されていて、しっぽの先に白玉をのせているような不思議なたたずまいにひかれて引き取りました。コムタンとの出合いが私の人生を変えました」
太田さんは多彩なキャリア変遷の持ち主。美大生時代、当時大人気の電子メールソフト「PostPet(ポストペット)」を手がけていた会社でアルバイト。大学でクリエイターの卵としてアナログ手法によるものづくりを学ぶ一方、最新のIT技術を駆使したデジタル事業に携わるモラトリアム期間を過ごします。
「本が大好きだったので、大学卒業後は出版系のデザイン会社へ就職しました。しかし就職後も、ピンクのくまのモモがメールを配達して、おやつをもらってきたり怒られたりする『PostPet』の世界観が深く印象に残っていて、『自分もいつかそういうストーリー性のあるコンテンツを作る仕事がしたい』とずっと願っていました」
ほかにも母校の助手などさまざまな仕事を経験する中で、アートキュレーターとして企画や運営を手がけるようになり、2010年、渋谷にギャラリー『SUNDAY ISSUE』をオープンします。
「アカデミックすぎず、もう少し身近な世界にある面白いことをアートの目線から見てみるような新しい楽しみ方を提案したくて、カルチャー寄りの視点から作品づくりをしているクリエイターを紹介する場として『SUNDAY ISSUE』を立ち上げました。インプット用の古書がそろう本棚・会話ができるカフェバー・ホワイトキューブつきという3つのコンセプトがひとつの場所で叶う空間です。そこで多くのアーティストやミュージシャンなどと知り合うチャンスが増えました」
また当時、すでにコムタンとの生活をInstagramで発信していた太田さんは、自身もすっかりインフルエンサーに。コムタンブレイクに後押しされてギャラリー運営を軌道に乗せます。
「ギャラリーの閑散期に自主企画でさまざまな展示ができたので、『坂本美雨ちゃんがやっている猫の保護活動の応援ができるような企画展をやろう』とアーティスト仲間で盛り上がりました。『SUNDAY ISSUE』で猫問題をあつかうことにちなみ、2013年5月に『Cat’s ISSUE』というタイトルの展覧会を開いたんです」
「動物愛護の本を置いたり、募金箱を設置したり、愛護団体が保護している猫たちの写真をモチーフにしたポストカードやステッカーを販売したりしたのですが、特にグッズがものすごく売れました。『買うことで支援や啓蒙につながりつつ、本当に欲しくなるようなクリエイティブ性の高い猫モチーフの商品があれば、なおよいのでは』とひらめき、そういう活動やブランドができたらいいなと思うようになりました」
続いて、コムタンや美雨さんの愛猫・サバ美など『Cat’s ISSUE』猫メンバーたちをモチーフにしたステッカーを販売。そのあまりの好評ぶりに着目した百貨店やセレクトショップなどからポップアップストアのお誘いを受けるようになります。
「『ポップアップストアをやるなら、ちゃんと売れる商品を作らねば!』と思ったのですが、当時は商品開発のあても潤沢な在庫もなかったので、誘致元からメーカーをご紹介いただいたり、受注生産スタイルを採用したり、『SUNDAY ISSUE』にゆかりのあるアーティストさんたちを総動員してワークショップを企画したり、あの手この手を駆使。2014年頃から、伊勢丹新宿店を皮切りに各所でポップアップストアを展開するようになりました。伊勢丹では新宿店2Fのセンタースペースを1週間お借りしたのですが、初開催にもかかわらず、大勢のお客さまにご来店いただいて、当時過去最高レベルの売上を達成しました」
Instagramの普及で他人の家庭事情が可視化され、そこにキュートな猫が登場することで、コンテンツとしての強みがグンとアップ。猫との暮らしぶりを発信することは、飼い主の人となりや等身大のライフスタイルをより見えやすくし、フォロワーに親近感をもたらします。太田さんは、Instagramによる発信ブームと、そこに集まる猫好きが共感し合うタイミングにうまく合わせるかたちで『Cat’s ISSUE』をスタートさせ、唯一無二のストーリーテラーとしての頭角をあらわしていきます。
次回、1月22日(水)に公開予定の連載第2回目は、
Afternoon Tea LIVINGとの
コラボレーション・プロジェクト
「Cat’s NapTime」の歴史について熱く振り返ります。
お楽しみに!