『AFTERNOON TEA JOURNAL』は、心の贅沢を愉しむ方々をゲストにお招きし、生活をちょっと豊かにするアイデアやインスピレーションをお届けするライフスタイルメディアです。

5人目のゲストは、カリグラフィー・アーティストのヴェロニカ・ハリム(Veronica Halim)さん。クラシック&モダンの両スタイルを融合させた美しいフォルムで紡がれる書体と、文字芸術の枠を超えて次々に創造・提案される斬新なライフスタイリングは“ヴェロニカ・スタイル”として独自の地位を確立し、世界中のフォロワーから熱い支持を集めています。Afternoon Tea LIVINGでは、ショッピングバッグを筆頭とする定番雑貨群に彼女のアートワークを採用。そんなヴェロニカさんの創作活動やキャリア形成に迫る全8回の連載コラムをお愉しみください。第5回目は、ヴェロニカさんの素敵なライフスタイルをクローズアップ。忙しない都市生活を心身ともにヘルシーに過ごすためのTIPSを教えていただきました。

“〜するべき・〜せねば”を手放し、
毎日の活動をシンプルに。
ポジティブで心穏やかな日々が、
ヘルシーな心身の形成に直結

カリグラフィー・アーティストとしての創作活動に加え、自身のスタジオを構えて世界中のクライアントを相手にビジネスを展開するヴェロニカさん。度重なる国内外への出張や、時差のある海外エリアとのコミュニケーションなどで生活サイクルが不規則に偏りがちです。多忙を極める毎日のなかでも心身ともに健康に保つために彼女が心がけているのは、なるべく平穏な毎日を過ごすこと。

ヴェロニカさんの自宅。リビングには、今年の結婚記念日を機に自宅に迎えたばかりだという「The Chieftain Chair(チーフテンチェア)」が鎮座。北欧デザインの巨匠フィン・ユール氏が1949年に発表した名作が癒しの空間の主役に

「毎日のルーティンはなるべくシンプルに整え、必要なタイミングできちんと休む時間とスペースを設けて自分に対して厳しくしすぎないようにしています。朝起きたらストレッチをし、コーヒーを淹れて、テレビやYouTubeで軽く情報収集しながら朝食をとります。その後、シャワーを浴びて身支度を整え、スタジオに向かい、仕事をします。だいたい午後6時ごろに帰宅して夕食の準備を始め、午後7時半ごろからディナー。ベッドに入る前にテレビを見てひと息つきます」
クライアントやワークショップの生徒たちが絶賛するヴェロニカさんの美しいたたずまいの秘訣を聞くと「特別なことは何もやっていないんです」という意外な答えが返ってきました。
「高額なコストや大量の時間を費やして複雑な美容をあれこれ試すよりも、常にポジティブなマインドを持ち、自身の内面を整えながら毎日を暮らすほうが“美しさ”の実現に直結すると思っています。アートや自然といったインスピレーション源や、身近な人との有意義なコミュニケーションを大切にし、感謝の気持ちを抱きながら、自分を鼓舞してくれるもので身の回りを満たします。そうしてマインドセットを心がけていれば、自分の周囲に流れるエネルギーの波を穏やかにし、安心して身を委ねることができるんです」

ヴェロニカさんのバッグの中の定番アイテムは、ハンドクリーム・イニシャルを刻印したリップバーム・フレグランスオイルの3点。「仕事モードに入る時や集中力が必要な時など、気分を切り替えたい時は香りも重要な役割を果たしてくれます」

ヴェロニカさんが唯一心がけているビューティTIPSは保湿。特に、カリグラフィー作業の際に視線が集中する手元のケアに留意し、ハンドクリームやネイルオイルなどでみずみずしさをキープしているそうです。
「じゅうぶんな量の水を飲み、クリームやオイルを持ち歩いて肌の乾燥を防ぐことで、心身の潤いを保っています。また、できるだけ自炊して、バランスのよい食生活になるよう努力しています……毎日調理するのはとっても大変なことですけれど(笑)」

作り手の顔とストーリーが見える
愛用品で暮らしを満たす。
ヴェロニカさん流・快適空間の作り方

ヴェロニカさんのInstagramに並ぶカリグラフィー作品の写真は、ほとんどが自身のアトリエで撮影されたもの。自然光がやわらかに降り注ぐなか、活動しやすいよう機能的に整えられたモダンな空間を隅々まで彩るのは、作り手であるデザイナーの顔が見える名品たちです。

Instagramにたびたび登場するヴェロニカさんのアトリエ。家具の配置や生活雑貨のディスプレイなど、センスあふれる空間づくりには真似したいテクニックがいっぱい!

「オフィスも自宅も、個人的につながりのあるクリエイターが手がけたアイテムや家具を置いています。ひとつひとつの品がさまざまなバックグラウンドを携えて私の手元にやってきて、ともに暮らすようになるまでのストーリーに壮大なロマンスを感じ、とてもワクワクするからです」

数々のアパレルブランドと協業し、自身のおしゃれスタイルにも定評のある彼女は、デザイナーの個性とものづくりへの情熱がにじみ出るワードローブでクローゼットを満たしています。

神戸にアトリエを構える『Atelier_d’antan』(@Atelier_dantan)のアンティークスプーンバングル&リングや、『ripp monster』(@ripmon)のフラワーピアスなど、日本で入手した個性的なクラフトジュエリーがお気に入り

「好きなブランドはたくさんありますが、特にリスペクトしているのは『ISSEI MIYAKE(イッセイ・ミヤケ)』『JIL SANDER(ジル・サンダー)』『sacai(サカイ)』『THE ROW(ザ・ロウ)』などです。どの服も仕立てがよく上質で、時代を超えて着られるタイムレスなデザインが素敵ですよね。選ぶ服はシンプルなものが多いので、大ぶりな地金ジュエリーを合わせてアクセントとするコーディネートが好きです」

音楽・飲み物・香りで五感を刺激し、
心地よいライフサイクルの
旋律を奏でる

ヴェロニカさんがオン・オフといった生活モードを切り替えるために活用しているのが、音楽・ティー&コーヒーブレイク・香りの3つのスイッチ。適切なタイミングで五感を心地よく刺激し、生活リズムを快適に整えています。

「音楽が大好きです。仕事の時間・家事の時間・散歩の時間・寝る前のくつろぐ時間・集中する時間など、生活のシーンに合わせて好きな曲を集めたプレイリストを作り、聴き分けしています。高揚したりリラックスしたりと瞬時に気分を切り替えられますし、好きな音が耳になじむと地にしっかりと足が着いた感覚がして、とても落ち着くんです」

ヴェロニカさんが暮らす空間は、ディフューザーやキャンドルなどの香りで巧みに仕切られています。「さわやかな甘さのあるウッディ系の香りが好き。穏やかなムードをもたらしてくれます」

「また、ディフューザー・キャンドル・スプレーなどのフレグランスアイテムで部屋ごとに香りを変え、その空間の目的に合った環境を作り出すようにしています。お茶やコーヒーを嗜む時間も欠かせません。朝や仕事中の休憩にはコーヒー、食後には紅茶を飲むことが多いです。自分を落ち着かせ、癒してくれる選択肢をたくさん持っておくといいですよ」

次回、6月11日(水)に公開予定の連載第6回目は、ヴェロニカさんをインスパイアし続ける日本の魅力について
たっぷり語っていただきます。お楽しみに!

記事一覧へ戻る
次の記事
Part4
アフタヌーンティー・リビングとのプロジェクトについて
次の記事
Part6
ヴェロニカさんが好きな日本のいいところ