vol.5 「オーブンでふっくら美味。グラタン皿で仕上げるハンバーグ」

2021.11.22
Buyer Aya Okunishi
Buyer Aya Okunishi

ダイニングシーン バイヤー奥西彩が、毎月フードクリエイターをゲストに迎え、お菓子やお料理でアフタヌーンティーの器を彩っていただき、そのレシピと食にまつわる話題をお届けします。

今月のゲスト:坂田阿希子(料理家・「洋食KUCHIBUE」店主)

プロフィール
坂田阿希子(Akiko Sakata)
フランス料理店やフランス菓子店で経験を重ね、独立。プロの手法を家庭料理に落とし込んだレシピに定評があり、国内外問わず新しい味を求める旅が好き。料理教室「studio SPOON」主宰。2019年、東京・代官山に自身が立って料理を提供する「洋食 KUCHIBUE」をオープン。
instagram @attocook68

グラタン皿で仕上げるハンバーグ

「洋食の定番メニュー、ハンバーグ。両面を焼いてから、グラタン皿に入れてオーブンで仕上げると、ふっくらジューシーなハンバーグに。赤ワインをベースに手軽にできるソースもポイントです」

材料>(4人分/8個分 )
[A]ハンバーグ
牛ひき肉  600g
玉ねぎ  小1個
マッシュルーム 8個
生パン粉 30g
卵 1個
ナツメグ 小さじ1/4
塩 小さじ2/3
白胡椒 少々
——————
玉ねぎ 中2個
トマト 中2個
チーズ 適量(ゴーダ、チェダーなどお好みで)

[B]
赤ワインビネガー 小さじ2
しょうゆ 小さじ1
塩 少々
黒胡椒 少々

[C]ソース
赤ワイン 200cc
水 100cc
トマトケチャップ 大さじ1
ウスターソース 小さじ2
しょうゆ 小さじ2
ブランデー 適量
バター 40g

<作り方>
1. Aの玉ねぎをみじん切りにする。フライパンにサラダ油小さじ2(分量外)を入れ、薄く茶色に色づくまで炒め、しっかりと冷ます。
2. マッシュルームをみじん切りにし、①と同様に、しっとりとして水分が飛ぶまで炒めたら、しっかりと冷ます。

3. 牛ひき肉は使用するまで冷蔵庫で冷やしておき、ボウルに入れる。①と②、Aの生パン粉、卵、ナツメグ、塩、白胡椒を入れ、粘りが出るまで手早く練り混ぜる。8等分にして空気をぬきながら丸く成形する。
4. フライパンにオリーブオイル大さじ1(分量外)を熱し、輪切りした玉ねぎ(厚さ約1.5cm)を両面焼き色がつくまで焼き、Bの塩、胡椒をしてから、赤ワインビネガー、しょうゆを加え、取り出す。
5. フライパンをしっかりと熱し、サラダ油大さじ1(分量外)を加え、③の真ん中を少しくぼませて焼く。片面にまずしっかりと焼き色をつけたら、裏返して少し焼く。

6. グラタン皿に④と輪切りしたトマト(厚さ約1.5cm)を1枚ずつ重ねて並べ、その上に⑤をのせて、200℃のオーブンで15分ほど焼く。ハンバーグがぷっくりとふくらんで透明な肉汁が出てきたら、皿をいったん取り出し、スライスしたチーズをのせて再び5分ほど焼く。
7. ハンバーグを焼いたフライパンに、Cの赤ワインと水を加えて強火で煮詰め、残りの調味料を加えてさらに煮詰める。バターを少しずつ加えてとろみを出す。
※ブランデーは火にふれると炎が上がる場合がございますのでご注意ください。
8. オーブンからグラタン皿を取り出し、⑦のソースをかけたら完成。

<パセリライスの作り方>
米と水を同量で少し固めに炊き上げたごはん1合分にバターを約30g加え、パセリのみじん切りを大さじ1ほど加えて全体を混ぜ合わせる。軽く塩、胡椒をする。

料理家・坂田阿希子さん×バイヤー奥西彩おいしいトーク

バイヤー奥西彩(左) 料理家・坂田阿希子(右)

美味しいの原点は、幼少時代からの洋食の記憶

グラタン皿を使ったオーブン料理のアレンジ

奥西彩(以下、奥西):使っていただいたグラタン皿は、秋冬のあったか料理にご提案したい器で、もともとあるロゴワークスのシリーズに色を合わせ、かつオーブンで使えるように耐熱性を何回もテストしてようやく完成しました。今回のレシピではグラタン皿の新しい使い方を教えていただきました。

坂田阿希子(以下、坂田):このグラタン皿は深さがあるので、それを生かしてハンバーグと付け合わせを一緒にオーブンで仕上げるのがいいと思いました。ソテーオニオンとトマトもいっぺんに焼き上がります。

ロゴワークス グラタン皿(幅21.5cm 高さ4.8cm)¥1,760  スープマグ(340ml)¥1,540 スプーン¥990 フォーク¥990

奥西:スープマグにもパセリライスを盛り付けて、メインのハンバーグのオーブン仕上げとともに新鮮なアレンジで発見がありました。

坂田:ハンバーグはオーブンで仕上げるのが一番美味しくできます。フライパンで両面焼いた後、グラタン皿に移してオーブンに入れれば、器ごと熱々なので冷めにくいからいいですよね。しかも、オーブンに入れている10分間で、サラダを作ったり、スープを温めたり、出来上がりのタイミングを合わせやすいので料理がはかどります。

ロゴワークス グラタン皿(幅21.5cm 高さ4.8cm)¥1,760  スープマグ(340ml)¥1,540 スプーン¥495 フォーク¥495

奥西:ご家庭でハンバーグを作ると、中が生焼けになってしまうことがよくありますが、オーブンで仕上げれば、その心配もいりませんね。ご提案いただいたように、グラタン皿ではありますが、耐熱のオーバルボウルのように考えると、料理の幅も用途も広がります。スープマグもポトフのようなゴロゴロと具がたくさん入ったスープにもちょうどいい大きめのサイズなので、それこそライスを入れたり、どんぶりのようにメイン級に使えます。

坂田:確かに、一人暮らしや会社勤めの方の朝食は手早くさっと食べられるほうがいいから、マグなら持ちやすくて便利かもしれませんね。

奥西:前の日に残ったお味噌汁を飲んだり、和洋問わず使ってもらいたいと思っています。

日本が誇るクラシックな洋食文化が好き

奥西:KUCHIBUEで使っている食器はいわゆる洋食屋さんらしいものという視点でセレクトされているのですか?

坂田:そうですね。まさか自分の店を持つなんて考えてもいなかったのですが、やるとなったら、いろいろと構想が浮かびました。余計なアレンジをせずに限りなくベーシックに寄せて、お皿も白いリチャードジノリにロゴだけ入れてもらっています。カトラリーもなるべくクラシックにしたかった。そこに迷いはありませんでした。このお店は、全て子供の頃からずっと家族で通っていた洋食屋さんの味や、母が作ったくれた洋食の味へのオマージュです。

奥西:そのこだわりがメニューにも反映されているのですね。他のジャンルのお料理もいろいろと作られるのに、なぜ洋食屋だったのですか?

バイヤー奥西彩が愛読する坂田阿希子さんの著書。「SPOON 坂田阿希子の料理教室」(グラフィック社)「スープ教本」(東京書籍)

坂田:洋食にまつわる全てが好きなんです。洋食は日本で長い間、愛されてきた料理のジャンルです。年代問わずみんな大好きですよね。特別な材料を使うわけではないのに、丁寧な工程や時間を経て行き着く味というのが洋食にはあります。仕込みが大変なんです(笑)。でも私は洋食のそんなところが好きだし、魅力を感じています。あえて、そこを突き詰めたいという気持ちです。

奥西:ハンバーグ、ナポリタンといった家庭でもなじみのあるメニューだからこそ、レストランでプロの味をいただくことに、一番意味があるのが洋食なのかなと、私もKUCHIBUEに食べに来て実感しました。逆に言えば、絶対に自分が越えられない領域のような気もします。

坂田:洋食は幅広い年代の方に愛されていて、KUCHIBUEのお客様でも、ご年配の方がお孫さんと一緒に来てくださったりします。それが私は嬉しくて、洋食の力ってすごいなと思っています。

奥西:普遍的なお料理で苦手だという人に出会ったことないですよね。

家族で通った洋食屋さんの思い出の味を追い求めて

奥西:洋食のメニューはどなたかから教わったわけではなく、お仕事されながらご自身で研究していったのですか?坂田さんなりに今の味わいにどういうふうに再現されているのでしょうか?

坂田:幼少時代から家族で通い、大人になるまで何かある度に行き続けていた洋食屋さんがあって、そこが私にとっての“美味しい”の原点。誰かに教わったわけではなく、思い出を形にしているような感覚です。もちろんテクニック的な面は、経験の積み重ねからわかるようになりましたが、あの味をずっと追い求めています。基本的には思い出の味を再現し、そこに少しだけ今の私の好みが反映されているぐらいのニュアンスです。

奥西:ハンバーグもメニューとしては王道ですが、パテにマッシュルームを混ぜ込んでいましたね。

坂田:料理家の仕事をする中で、ハンバーグをお題として作ることはとても多くて、レシピも進化しながら変わってきましたが、マッシュルームを入れるようになったのは最近です。すごく食感も柔らかくなって旨味も出ます。見た目のクラシックさは守りながら、パテについては試行錯誤しながらアップデートしています。

奥西:今回のハンバーグレシピのポイントを教えてください。

坂田:身近な素材で完成する仕上げのソースです。一般的にハンバーグにはデミグラスソースを合わせることが多いのですが、ご家庭で手作りするは難しい。このソースはハンバーグを焼いた後のフライパンで、赤ワインを煮詰めて、ケチャップ、しょうゆ、バターを合わせれば簡単にできるのでおすすめです。

KUCHIBUEでも一番出番の多いお皿。坂田さんが自宅で愛用しているリムがある深めのタイプに近いのだそう。

普段使いの定番は、リム付きの深めの丸皿

奥西:お家での食事にはどういう器を使っていらっしゃいますか?

坂田:KUCHIBUEのモダンな感じとは違い、アスティエ(ド・ヴィラット)の器や、どちらかというと古いものが好きなので、以前は毎年フランスを旅して、蚤の市でアンティークの器やカトラリーを買い集めていました。私は器の作家さんに疎くて、持っているのは、昔からファンで親しくさせていただいている木工デザイナーの三谷龍二さんの器ぐらい。他は古いベーシックなノーブランドのものが多いです。

奥西:このお料理にはこのお皿みたいに、ご自身の中で決まった組み合わせはありますか?

坂田:蚤の市でバラで見つけたアンティークですが、形としてはリムがあるちょっと深めの丸皿で、そればかり使っています。お店でも、お客様にもスタッフのまかないご飯にも、この形がすごく使いやすい。カレーやスープなど洋食系はもちろん、中華、和食にも意外に合います。

奥西:幅広のリムがあるお皿は、レストランのイメージが強く、家庭用にはちょっと敬遠されがちで、あまり雑貨屋さんでは扱わないんですよね。どうしても和洋両用のお皿が人気なので、リムがあると洋が強すぎるみたいで。

坂田:そうなんですね。私にとってはリムが大事で、料理とのバランスもいいし、何割り増しか料理が映えると思います。それこそ肉じゃがを盛ってもきれいだし、技術がなくても盛りが決まる形です。

奥西:料理家さんのお話を伺っていると、オーバルが便利という方が多かったので、坂田さんのご意見は新鮮です。

坂田:私は断然リムの深皿派です。やっぱりこのベーシックな形が好きなのかもしれません。白いアンティークの皿もアスティエも持っているのはどれもこのタイプ。私のイチ押しですね。

奥西:盛るほうだけでなく、食べるほうにとっても、パスタのソースやスープを最後まですくいやすいから、いいですね。店頭でファミリーのお客様からお子さんに食べさせやすいお皿を尋ねられることがあるようなのですが、リムのある深めの皿なら、自分でスプーンを持てるようになったばかりのお子さんでも使えます。次の開発の参考にさせていただきます。ありがとうございました。



Photographer:Yu Inohara


※写真撮影時以外はマスクを着用し、十分な距離を保ち安全に考慮しております。

この記事を書いた人
Buyer Aya Okunishi
Buyer Aya Okunishi

ダイニングシーン担当バイヤー。調理師免許を持ち、レストランでの勤務経験もあり。得意料理はトマトソースパスタ、趣味はジャムなど保存食づくりと器集め。旬の食材や料理を思い浮かべ、器との組み合わせを考えながら商品開発を行う。日本の産地の素晴らしい技術や経験が受け継がれるよう、ストーリーのある商品をお客様にお届けすることを使命としている。 このコラムは奥西がずっとお会いしてみたかった憧れのフードクリエイターにお話を伺っていく連載企画です。

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