お米のプラスチックを使ったランチボックスができるまで

2021.10.29
Afternoon Tea staff
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試行錯誤の上、完成したランチボックスを前に。開発担当のバイヤー矢澤隆介さん。

隠れたいいもの、いいはなし

アフタヌーンティーがずっと大切にしてきた思い入れのある定番品やブランドを代表する象徴的なアイテム。それらが誕生するまでのエピソードとそこに込めた裏側のストーリーを綴ります。

Vol.23 ライスレジン®️のランチボックス

環境への取り組みを続けるアフタヌーンティーが、お米由来の国産バイオマスプラスチック「ライスレジン®️」を使って、ランチボックスの開発に挑戦しました。バイオマスプラスチックとは、植物由来の原材料を使用して作られたプラスチックのこと。プラスチックを焼却する際にCO2が排出されますが、バイオマスプラスチックの原料となる植物は、CO2を吸収しながら育ちます。焼却時のCO2の排出量と、原料となる植物のCO2の吸収量が等しいことから、環境に影響を与えない「カーボンニュートラル」として注目されています。

廃棄されるお米をアップサイクルした日本発のバイオマスプラスチックとして注目の新素材ライスレジン®️。

日本初! ライスレジン®️でランチボックスを開発

バイオマスプラスチックとして知られているのは、トウモロコシやサトウキビが原料となるものが多いのですが、アフタヌーンティーが注目したのは国産のお米を使った「ライスレジン®️」でした。これは、食用に適さない古米や、米菓の製造時に発生する破砕米など、食用にも飼料にもできず廃棄されるお米をプラスチックに混ぜるというエコ素材です。

株式会社竹中の工場にて、ライスレジン®️のランチボックスを成型する様子。

アフタヌーンティーのバイヤーが、山中塗りの製品を手がけている石川県山中町の株式会社竹中さんを訪れたときに偶然、「ライスレジン®️」の乳幼児用知育玩具を目にしたのがきっかけでした。お弁当といえばお米、ならばランチボックスをお米のプラスチックで作ったらどうだろうと閃いたのです。

新素材「ライスレジン®️」は、知育玩具の他に郵便局のレジ袋、カトラリーに使用されていましたが、ランチボックスはこれまでに例がありません。多くのランチボックスを製造している株式会社竹中さんも、「ライスレジン®️」を使用するのは初の試み。毎日使うものだから、従来と同様の機能が求められます。そこから、アフタヌーンティーと株式会社竹中さんの挑戦が始まりました。

フタの閉めやすさ、密閉性を追求するため、お米の含有率を変えながら硬さを何度も調整。

納得のいく機能性を目指し、山積みの課題をクリア

最初に課題となったのは、「ライスレジン®️」特有の素材自体の硬さでした。ランチボックスは、具材や汁がこぼれないようにフタがカチっと閉まることが重要ですが、お米の含有率が高いと硬くなってしまい、フタが閉まりにくいため、配合率やランチボックスの形を変えて、何度も試作を重ねました。

次に問題となったのは電子レンジでの使用です。ランチボックスの素材は、バイオマスレジン社のライスレジン®️(お米を最大で70%まで混ぜることが可能)に、ポリプロピレンなどを配合し、電子レンジ対応として新たに開発しています。お米の含有率が高くなるほど、ほのかにお米の香りがあり、さらに電子レンジにかけるとお煎餅のようにパリパリに変質してしまいます。そこで、お米の含有率を変えてテストを繰り返し、お米を10%に留め、電子レンジで使用できるようにしました。

また、ライスレジン®️に配合したポリプロピレンという素材には特有のツヤがあり、お米の含有量を10%に留めると、そのツヤが際立ってしまいます。他のプラスチック商品との差別化を図るため、ツヤを落とすように原料配合を調整し、高級感のあるマットな質感に仕上げました。

ライスレジン®️のランチボックスシリーズ第一弾は、お米をイメージさせるホワイトで展開。

商品サンプルが出来上がると、スタッフ自ら実際にお弁当生活を続け、使い勝手を確認します。繰り返し使用する中で、ランチボックスを洗う際に、イラストが剥がれやすいことが判明したため、特殊な技法によって耐久性に優れたシルクスクリーン印刷を施しました。製造過程でイラストを保護する特殊な処理を追加。具材の匂い移りやケチャップなどの色素沈着まで多岐に渡りチェックします。

企画から製品化まで約1年を経て、共に開発に携わった株式会社竹中さんの担当者は、こう振り返ります。「電子レンジ対応の商品を開発したことは、とても画期的だったと思います。我が社もバイオマス樹脂の取り組みは初めてでしたので、原料やSDGsの取り組みに関する知識を得た事は大きな収穫になりました」

絶滅危惧種の動物をモチーフにしたchitose chitoseさんによるイラスト。奥から時計まわりに、マルチデザートケース(オランウータン)¥1,650  ランチボックス(ホワイト)¥2,860ランチボックス(パンダ)¥2,860 下に敷いたオーガニックコットン風呂敷(シマウマ)¥2,530

持続可能な社会を目指して、ランチボックスから未来を考えよう

ランチボックスのデザインは、イラストレーターのchitose chitoseさんによる絶滅危惧種の動物たちのイラスト。日常生活から危機に瀕した動物たちについて考えるきっかけになればという願いを込めました。さらに商品の売上の一部は、森林保全団体「more trees」※に寄付され、森づくりに役立てられています。

ライスレジン®️が誕生した日本有数の米どころ、新潟県南魚沼の田園風景。

アフタヌーンティーは、2024年までに商品の50%を環境に配慮した素材・方法で製造し、持続可能な未来を目指しています。ライスレジン®️を使用したアイテムも、今後さらにバリエーションを広げていく予定です。このランチボックスをきっかけに、アフタヌーンティーと一緒に、これからの未来を考えてみませんか。


※「more trees(モア・トゥリーズ)」
一般社団法人more treesは、音楽家・坂本龍一氏が代表を務める森林保全団体です。地域と協働で森林保全を行う「more treesの森」の展開、国産材を活用した商品の企画・開発、イベントを通じた森の情報や魅力の発信など、「都市と森をつなぐ」をキーワードにさまざまな取り組みを行っています。


写真撮影時以外はマスクを着用し、十分な距離を保ち安全に考慮しております。

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なんでもない一日が、心地よい刺激で満たされる、ふっと楽しくなってくる。 私たちが大切にしているものは、そんな日常のなかのこころのゆとりです。 夢を感じる商品やメニュー、気持ちの通いあうサービス、くつろぎの時間と空間。 そのひとつひとつが、お客さまのシアワセのきっかけとなりますように。

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