アフタヌーンティーがずっと大切にしてきた思い入れのある定番品やブランドを代表する象徴的なアイテム。それらが誕生するまでのエピソードとそこに込めた裏側のストーリーを綴ります。
いよいよ本格的な夏が訪れます。暑い季節のおうちごはんのおともに涼しげなガラスの器を加えてみてはいかがでしょうか。アフタヌーンティーでは、青森県の伝統工芸品「津軽びいどろ」のアイテムを揃えました。
「津軽びいどろ」を手がけるガラス工場「北洋硝子」は、1949年から漁業用のガラスの浮玉を製造していました。時代の移り変わりとともに浮玉はプラスチック製へと切り替わり、浮玉製造で培った宙吹きの技術をもとに、花器や食器の生産を始めたのだそうです。色ガラスの調合や技法など研究を重ね、1977年に生まれたのが、日本ならではの四季の彩りや津軽の風景を、豊かな色彩で表現した「津軽びいどろ」でした。
工場では数名の職人さんがチームになって、リレーのようにみなさん息ぴったりで作業をしていました。ひとりの職人さんが溶けたガラスの種を巻き取り、別の職人さんがそのガラスの種を切り取ります。高温のガラスの種に、色ガラス粒を付着させて再加熱して色ガラスを馴染ませ、その後金型へ。その金型を回転させて、遠心力によって形作って行きます。これが「スピン成形」という製法で、若手の職人さんが中心となって、生産の軌道にのせた技術だそうです。それによって手仕事の高いクオリティを保ちながら、一定の量を生産できるようになりました。アフタヌーンティーが別注した器もこのスピン成形によって、ひとつひとつ職人さんの手作業で丁寧に作られています。
「津軽びいどろ」の最大の特徴である、繊細で複雑な色彩の組み合わせは、柄を作る色ガラスの粒も自社工場で作っているから生み出せるのだそうです。それに加え、色ガラス粒の付き方によって柄が変わるので同じ柄は二つとなく、どの器も世界にたったひとつしかありません。
アフタヌーンティーが北洋硝子に別注したオリジナルカラーは、透明のソーダガラスにピンクとグリーンが新緑と桜の花びらのように散りばめられたものと、夏の海や空のようなブルーの濃淡にピンクが差し色となった2タイプ。その美しい色のガラスで、麺皿、蕎麦猪口、小鉢、箸置き、タンブラーを作りました。
ほどよい深さのある麺皿は、タレやソースを使う冷やし中華や冷製パスタなど、夏の麺料理にぴったりです。竹簾を組み合わせれば、そうめんも水っぽくなりません。蕎麦猪口には麺つゆや薬味を入れて。小鉢は、刻み野菜をたっぷり加えたつけだれや、フルーツやデザートにもちょうどいいサイズです。箸置きにも、小さいながら「津軽びいどろ」らしい色ガラスの粒が閉じ込められています。
タンブラーは、ビールなどのお酒から、お茶、ジュースまで、いろいろなドリンクに使える容量300mlのサイズ。グリーンとピンク、ブルーとピンクの色ガラス粒の2タイプのほか、グリーンやブルーのスパイラル模様がアクセントになったデザインも加えました。この柄は、融けたガラスの種に色ガラス粒を付けて、炉の中で捻り作り出すシンプルな柄ですが、安定した模様にするには、職人さんの経験と熟練の技が必要です。
「津軽びいどろ」のように、優れた技術をもつメーカーさんや職人さんとコラボレートしながら、日本の魅力をしっかりと伝えていくこと、日本のものづくりを応援することも、アフタヌーンティーの役割だと思っています。
伝統工芸というと、後継者不足の問題が話題に上がりますが、北洋硝子は職人さんの育成にも積極的です。職人さんは、多くの賞を受賞する青森県伝統工芸士の大ベテランから、スピン成型を確立した中堅、お子さんのいる女性などさまざまです。それぞれが作るアイテムを変えて分業しながら、技術を継承する体制を整えているそうです。職人さんのなかにはアフタヌーンティーで「津軽びいどろ」の存在を知ったという若手の方もいて嬉しくなりました。
一方で、使う側からすると、「伝統工芸に興味はあるけれど、きっと手が届かないだろう」「お手入れが大変だから特別なときにだけ」と、躊躇してしまうこともあるかもしれません。けれど、「津軽びいどろ」は、他のガラスの器とお手入れ方法は変わりません。また、普段使いしてほしいという思いから、価格もお求めやすく設定しました。もちろんギフトにもおすすめです。まずは、気軽に「津軽びいどろ」の器から、伝統工芸に親しんでみませんか。
※写真撮影時以外はマスクを着用し、十分な距離を保ち安全に考慮しております。
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