vol.2「アフタヌーンティーの思い出が詰まったヴィクトリアケーキ」

2021.06.08
Buyer Aya Okunishi
Buyer Aya Okunishi

ダイニングシーン バイヤー奥西彩が、毎月フードクリエイターをゲストに迎え、お菓子やお料理でアフタヌーンティーの器を彩っていただき、そのレシピと食にまつわる話題をお届けします。

今月のゲスト:岡本ゆかこ(料理家・フードスタイリスト)

プロフィール

岡本ゆかこ(Yukako Okamoto)

アフタヌーンティー・ティールームに勤務後、海外の食文化を学びにサンフランシスコへ。キッチンツール会社にて店舗ディレクション・スタイリング・企画を担当。フードコーディネーターアシスタントを経て独立。現在は、お菓子・料理教室「atelier plus+」を主宰するほか、フードスタイリストとして、広告、雑誌の料理撮影のスタイリング、メニュー開発などを手がける。著書に『並べて焼くだけ!グリラーレシピ』『おうちで作るアイスケーキ』(ともに河出書房新社)などがある。


ヴィクトリアケーキ

「アフタヌーンティー・ティールームで働いた経験と、そこで学んだイギリスの食文化が、料理家としての私の原点です。だからスコーンにはブルーベリージャムを合わせるという“アフタヌーンティー”のスタイルは、いまも私の中に染み込んでいます。そういったエッセンスと当時の思い出を本場イギリスのティータイムの定番、ヴィクトリアケーキで表現しました。簡単なレシピですが、ちょっとの工夫で40周年のバースデーケーキに仕上がります」


<材料>(直径15cm 1台分)
発酵バター 150g
粉糖   150g
薄力粉(ドルチェ)  150g
ベーキングパウダー 4g
卵 2.5個(140g)
牛乳 40cc
生クリーム(脂肪分40%以上) 100cc
サワークリーム 20g
ブルーベリージャム 100g
※フルーツなどをお好みで飾るのもおすすめです。

POINT
ホームセンターなどでカットしてもらった角材をケーキの幅に合わせて並行に置き、それに沿うようにナイフを入れると、きれいに切れます。

<下準備>
型にバターを塗り、いったん冷蔵庫でバターを固め、薄力粉(分量外)をまぶし、余分な粉を取っておく。底に紙を敷いておく。卵をとき常温に戻しておく(秋〜冬は湯煎をし、体温と同じくらいに温めておく)。


<作り方>
1. ボウルにヘラが抵抗なく入る程度に柔らかいバター、粉糖を入れハンドミキサーで白っぽくなるまで混ぜる。

2. とき卵を①に大さじ1〜2杯程度、少しずつ加え、都度よく混ぜる。

3. ②に薄力粉とベーキングパウダーをふるい入れ、ゴムベラで混ぜ、粉気がなくなったら20回ほど混ぜ、牛乳を加えてさらに20〜30回生地にツヤが出てくるまで混ぜる。

4. 準備した型に③を入れる。軽く底をトントンと叩き、空気を抜く。

5. 180度に予熱したオーブンで20分、その後、温度を170度に下げて25〜35分焼成する。竹串を刺して生地がついてこなかったら焼き上がり。

POINT
型紙を置いて粉糖をかけるだけで、お好きなモチーフを描くことができます。

6. クリームを立てる。サワークリームと生クリームを混ぜ、泡立てる。

7. ⑤を半分に切り、⑥とジャムを挟む。
※お好みでベリーを挟むのもおすすめです。

8. 上から粉糖(分量外)をかける。

POINT
切り分ける際は、外側から中心に向かって垂直にナイフを入れると、中身がはみ出ずきれいに切れます。
ロゴワークスプレートM(直径21cm 高さ2.4cm)¥1,540 ロゴワークスマグカップ for Tea ¥1,320

料理家・岡本ゆかこ さん×バイヤー奥西彩 おいしいトーク

バイヤー奥西彩(左) 料理家・岡本ゆかこ(右)

「ちょっとした工夫で食卓が華やぐ、半歩先の提案を」

料理を選ばず手持ちの器とも調和するLOGO WORKS

奥西彩(以下、奥西):今回、ケーキの盛り付けに「LOGO WORKS」シリーズのプレートを使っていただきましたが、いかがでしたか?

岡本ゆかこ(以下、岡本):日本のいまの食卓は、洋食もあれば、和食や中華もあって、和洋折衷が基本です。器が和や洋のどちらかに偏ったテイストだと、用途を狭め盛りづらくなってしまいます。このプレートはそれがなく、形状もフラットなので、料理はもちろんケーキをのせてもいいし、ワンプレートにも使いやすいですよね。

奥西:そうなんです、まさにそういうコンセプトで作りました。

岡本:マットな質感もいまの器のトレンドですし。食卓の上で、マットな器とツヤのある器が並ぶと、ちょっと上級者テクニックで難しい印象ですが、マットな質感で揃えるとお料理の写真も撮りやすいんです。このシリーズは、一枚買ったら、他のサイズも欲しくなる、手持ちのどの器とも比較的合わせやすいサイズと色や質感だと思います。

ロゴワークス パスタプレート(直径23.5cm 高さ3.7cm)¥1,980 ロゴワークスプレートM(直径21cm 高さ2.4cm)¥1,540

奥西:マットなのですが、少しだけツヤもあるセミマットぐらいの質感にしています。実は製造工程では苦労しましたが、そう言っていただけると、こだわったかいがあります。ケーキとの相性もよかったように思います。

岡本:大きいプレートにはホールのままでものせられるし、小さいほうのプレートも、このサイズなら、キャンバスのように見立て、切ったケーキをのせて、粉糖やココアなどで文字を入れたり、フルーツやクリームを添えれば様になります。そういうちょっとの工夫でこだわっている感じが出ると、おうちで食べるにしても自分へのおもてなしになりますね。

奥西:確かに、フルーツをのせるだけで華やぎが増しますね。カットケーキ用にもう少し小さい取り皿サイズが必要かなと考えていましたが、今のお話を聞いて、例えば、シフォンケーキにクリームを添えたりするなら、これぐらいのサイズでもよさそうですね。一般的にこの直径21cmが、使いやすい大きさと言われている所以なんだなと確信が持てました。

クリーム、ブルーベリージャムに、お好みでベリーを加えるとより華やかになります。ロゴワークス パスタプレート(直径23.5cm 高さ3.7cm)¥1,980 ロゴワークスボウルS(直径11cm 高さ4.8cm) ¥1,100

英国の伝統のケーキを“アフタヌーンティー”仕様にアレンジ

奥西:なぜ今回ヴィクトリアケーキを選ばれたのでしょうか?

岡本:アフタヌーンティーと言えば、イギリスがルーツなのでイギリスのお菓子にしました。もともとパイン材の家具や食器を輸入して、スコーンと紅茶を出したのがアフタヌーンティー・ティールームの始まりと聞いたことがあり、そこではスコーンはブルーベリージャムで食べるのが基本でした。本来ヴィクトリアケーキには、ストロベリーやラズベリーなど赤いジャムを挟むのですが、あえてブルーベリージャムにしています。もう少し華やかにしたかったら、ラズベリーやブルーベリーといったフルーツを足すのもいいと思います。
レシピ自体はよくある四角いバターケーキの生地に牛乳をちょっと加えただけのシンプルなものですが、丸く焼き半分に切って、クリームとジャムを挟むだけで、なんだか気分が上がりませんか?  私がティールームで働いていたときに学んだ「半歩先の提案」は、いまでも自分のテーマになっています。感度の高い方もいれば、いろいろなお客様がいるから、一歩先だと行き過ぎてしまうと。その考え方は、ヴィクトリアケーキにも当てはまり、豪華なことではなく、ちょっとした工夫で華やぐということを伝えたいんです。

奥西:難易度的には、普通のスポンジケーキよりバターケーキは簡単なので気負わずに作ることができて、しかもずっしりと食べ応えもありリッチなケーキという感じですね。

料理家・岡本ゆかこ

アフタヌーンティーから教わったこと

奥西:岡本さんがアフタヌーンティー・ティールームで働いていらっしゃったとき、印象に残っているエピソードや思い出深いメニューはありましたか?

岡本:私が初めてアフタヌーンティーに行ったのは、小学生の頃、確か雑誌『オリーブ』を見てだと思います。池袋のお店でしたが、ガラス張りで外からもガラスの食器がいっぱい並んでいるのが見えてすごい素敵だなと思っていました。店内に入ると、奥にティールームがあって、素敵なパイン材のダイニングテーブルで食事ができて、当時はまだそんなにおしゃれなカフェなどなかったので、とても衝撃的でした。
現在ほど情報もなく、まだ外国が遠かった時代に、おしゃれな空気を感じることのできる場所でした。なかでも、サラダボウルの中にカンパーニュが入っている、マッシュルームサラダサンドというメニューはよく覚えています。普通パンは添えるものなのにサラダに入れてしまうんだということと、マッシュルームが生で食べられるんだということに衝撃を受けた方は多いのではないでしょうか。他にもいろいろなイギリスの食文化や食器、籐のバスケット、生活の中に取り入れる雑貨だったり、海外のおしゃれなライフスタイルがありました。

奥西:ティールームを経て、いまこうやって逆にリビングの調理器具やテーブルウエアの撮影でお料理やスタイリングをしていただいているなんてご縁を感じます。

岡本:最初はアフタヌーンティー・リビングで働きたかったんです。たまたまティールームしか募集がなく、でも自分は接客に向いていないと思っていたので、キッチンスタッフとして入りました。そのときは、働いているうちにリビングに異動できればいいなと考えていたのに、こうやってフードスタイリストとして一緒に仕事をしているなんて、人生何が起こるかわかりませんね。あのときやっていなかったら、いまの自分はないし、食の世界に足を踏み入れたことも、レストランではなくアフタヌーンティーだったことも、全ていまの私の立ち位置を裏づけているように思います。それがレストランのような専門的な料理ではなく、おうちの材料でできるカジュアルな家庭料理のレシピを作ることに繋がっています。

岡本ゆかこさんの著書。ミントを使わないことをルールにしたという『おうちで作るアイスケーキ』と『並べて焼くだけ!グリラーレシピ』(ともに河出書房新社)

レシピを考案するときの心得

岡本:例えば、レシピを考えるときは、いつもよりちょっと違う材料を使うとか、違う切り方をする、違うスパイスを使ってみることで、料理の幅はすごく広がります。

奥西:ヴィクトリアケーキに添えたカモミールの花が可愛らしくて、エディブルフラワーの使い方が素敵だと思いました。でも大量には使わないので、どうしても余ってしまいがちです。だからといって使いすぎると、そちらが目立ってしまいます。エディブルフラワーの程よい使い方を教えてください。

岡本:たくさん使うか、ちょっとだけ添えるか、どちらかがいいと思います。余ったエディブルフラワーは、製氷器に水と一緒に入れて凍らせれば、すごく可愛い氷が出来上がります。炭酸水に入れるだけで、ちょっとテンション上がりますよね。余ったものでできる小さなことでも生活が潤います。

粉糖で数字をあしらい、ベリーとカモミールを添えて、お皿をキャンバスのように使うのが盛り付けのポイント。ロゴワークスプレートM(直径21cm 高さ2.4cm)

料理の盛り付けとスタイリングのコツ

奥西:カットしたケーキの盛り付けでも余白に数字をあしらったり、フルーツを添えたり、お皿をキャンバスのように使うとおっしゃっていたのが印象的でした。盛り付けをするときのルールみたいなものはありますか?

岡本:絵を描くのと共通するかもしれませんが、色を選ぶというか、カラフルにしたり、あえてワントーンにして、例えば、レモンと黄色いズッキーニと黄色いパプリカでパスタにするとか。色を意識するだけで、一気に見栄えがよくなると思います。
今回のケーキだったら、イギリスとアフタヌーンティーというのがルールなので、イングリッシュガーデンから摘んできたようなイメージでカモミールを添えました。そういうさじ加減を考えながら盛り付けます。もう一つポイントとしては、フラットなお皿には、クリームを添えるとき、ちょっと高さをつけて立体感を作ったり、食材の形を考えて盛るといいですよ。

奥西:基本的には丸いお皿に盛るときは、ひと回りぐらい余白を取るのがいいんですよね。

岡本:お皿に対するお料理の盛り方の黄金比率は、料理7、余白3と言われています。盛りすぎると野暮ったくなってしまいますから。

バイヤー奥西彩

奥西:盛り付け一つとってもやはりプロは違いますね。勉強したいとずっと思っていたので、現場に立ち会えて夢が叶いました。ちゃんとしたルールみたいなものがないから、今まで素人っぽくなっていたのだとよくわかりました。ちなみにインスタグラムのお写真も素敵ですが、お料理を美しく撮影するコツもあればぜひ教えてください。

岡本:インスタグラムは仕事ではないので無理はしないようにしています。例えば、テーブルのクロスをわざとクシャっとして動きを出すほうが絵にはなりますが、オーバーな演出はせず、お皿と天板だけで様になるように自分に課しています。スタイリングせず、足さずに引き算することで鍛えられるように感じます。そうすると、フォークの置き方だけですごく素敵にしないと様にならないということが身をもってわかるんです。
あとは、カレーパン一つでも、ちょっとサラダやグラスに入れたヨーグルトを添えてみたり、お皿を重ねたり、できるだけそのまま普通には食べないように心がけています。このプレートはそういう意味でも重ねやすくていいですね。食洗機にも使えるし、手から滑り落ちにくいし。日常使いにはちょうどいいです。

ロゴワークスプレートM(直径21cm 高さ2.4cm)¥1,540

奥西:手馴染みのよさ、持ち上げやすさ、重なりのバランスはデザイナーが一番意識したところです。スタイリングする上で、どんなお皿があると便利でしょうか?

岡本:四角いプレートです。食卓にお皿が並んだときの見た目は、丸い形だけだと、ちょっとつまらない。そこにお箸があれば、直線がプラスされるので変化がつきます。だから正方形や長方形、三角形のお皿があると、おしゃれに見えやすいので、いつも器が変わりばえしないという方は形を変えてみるといいと思います。


Photographer:Aya Kawachi


※写真撮影時以外はマスクを着用し、十分な距離を保ち安全に考慮しております。




この記事を書いた人
Buyer Aya Okunishi
Buyer Aya Okunishi

ダイニングシーン担当バイヤー。調理師免許を持ち、レストランでの勤務経験もあり。得意料理はトマトソースパスタ、趣味はジャムなど保存食づくりと器集め。旬の食材や料理を思い浮かべ、器との組み合わせを考えながら商品開発を行う。日本の産地の素晴らしい技術や経験が受け継がれるよう、ストーリーのある商品をお客様にお届けすることを使命としている。 このコラムは奥西がずっとお会いしてみたかった憧れのフードクリエイターにお話を伺っていく連載企画です。

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