日本のあちこちで、今日も自分だけの「表舞台」に立つ人々。
つむぐ物語はひとそれぞれ違うけれど、
どの舞台も美しく輝いて見えるのは、「舞台裏」での人知れぬ努力があるから。
いつでもどんな時でも手軽に涼やかな風を感じられる、FANは輝く人の味方です。
東京・高円寺にある小杉湯の番頭として憩いの場を提供し続けるレイソン美帆さん。
そこにはこの街と地元の人に対する強い愛と大きな感謝の気持ちがありました。
――お仕事をする上で一番大切にしていることはなんですか
みんなが気持ちよくお風呂に入ってくれて、気持ちよく帰ってくれることが一番。そのためには、掃除や湯沸かし、接客など、すべての仕事が大切だと思っています。銭湯に関わる全ての業務が楽しくて、あっという間に時間が過ぎていきます。
――やりがいを感じる瞬間は?
たくさんあります。誰かがここに来てくれるから、毎日頑張ろうと思える。銭湯では人との関わり合いが身近で、世代を超えた付き合いがあります。いろんなお客様と出会い、おしゃべりさせてもらうことで元気をもらうし、大きなやりがいにも繋がる。番頭になったことで自分の生活が豊かになったから、やりがいというよりも「働かせてもらってありがたい」という気持ちの方が強いですね。今は一緒に働くスタッフも増えてきたので、彼らにも楽しく仕事してほしい。新しいメンバーが来ても違和感なく自分の意見を発言できる場を作っていきたいと思っています。
――自分のリフレッシュ方法は?
海外のゴシップ誌を読むこと。あとはやっぱりお風呂に入ることかな? お風呂が大好きなので2時間くらい入ってられるんです。ランニングコースを巡ったあとに銭湯に入る「走る銭湯」というのも毎月一回開催しています。(新型コロナウイルスの為現在休止中)
――お仕事をしていく上で将来の目標やチャレンジしていきたいことはありますか。
小杉湯以外の銭湯のお手伝いや銭湯文化を残す活動や発信が出来たらいいなと思っています。毎年廃業する銭湯が増えているので、一つでも多くの銭湯が残って、未来の子供たちに良き銭湯文化を残せると嬉しいです。また、最近出産をしたばかりなのですが、子供を銭湯で育てたいというのも夢です。自分の子供というより、みんなの子を代表して生んだような感覚なんです。だからみんなでお風呂に入れてもらいたい。成長すれば我が家にばかりいなくて、常連さんのところにも遊びに行くような子供になってほしい。いろんな人と関わって、おしゃべりすれば、将来の選択肢は増える。お金を使わなくても、豊かになれる方法はたくさんあるんです。
――フォールディングファンを使ってみた感想を教えてください。
手放しで作業できるのはすごくありがたい。軽いので首から下げている感覚があまりなくて、ノーストレスでした。しかも小さいのに風量はしっかり! 涼しくて使い勝手がいいから、普段の仕事でたっぷり活躍しそうです。
――この仕事においての「舞台裏」とはなんですか?
全部になるのかな。朝の掃除もそうだし、仕込みも、お客様をフォローする番台の仕事も事務も全て舞台裏です。みんなが気持ちよくお風呂に入れるようにお手伝いをする私たちは、常にバックヤードの存在なんだと思います。
Photo: Kento Mori
Text: Akemi Kan
※写真撮影時以外はマスクを着用し、十分な距離を保ち安全に考慮しております。
1986年宮崎県生まれ。上京後、高円寺の老舗銭湯「小杉湯」に通う。2017年銀行員を経て「小杉湯」の番頭に。