vol.1「ローズメレンゲケーキで祝うアフタヌーンティーの40周年」

2021.05.18
Buyer Aya Okunishi
Buyer Aya Okunishi

ダイニングシーン バイヤー奥西彩が、毎月フードクリエイターをゲストに迎え、お菓子やお料理でアフタヌーンティーの器を彩っていただき、そのレシピと食にまつわる話題をお届けします。

今月のゲスト:福田里香(菓子研究家)

プロフィール

福田里香(Ricca Fukuda)

菓子研究家。武蔵野美術大学卒業後、老舗果物店・新宿高野に勤務を経て、独立。書籍や雑誌を中心に、イベントなど幅広く活躍。著書に『民芸お菓子』(ディスカバージャパン)、『R先生のおやつ』(共著 雲田はるこ/文藝春秋)、自ら撮影も手がけた『新しいサラダ』(KADOKAWA)、『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局)などがある。

                                                   

40周年のローズメレンゲケーキ

「4輪×10輪でアフタヌーンティーの40thを表す……という意匠で製菓しました。メレンゲとホイップクリームにいちごを合わせた『イートン・メス』は、イギリスの伝統菓子で “アフタヌーンティー”のお茶受けにも人気です。今回メレンゲをイギリス国花『バラ』の形に絞りました。バラの下にいちごとピスタチオクリームを潜ませたのは、『Under the Rose』というイギリスの慣用句からの引用です。『バラの下に』は『内緒、秘密』という意味。アフタヌーンティーは、常にお客様にとって楽しい思い出が詰まった内緒のお気に入りの店であり続けました。それがずっと愛される秘密……という思いを込めました。40周年のお祝いに、私が好きなメレンゲで作ったバラのケーキを贈ります」

<材料>(直径16cm 1台分)
冷えた卵白 2個分
グラニュー糖 50g
ふるった粉糖 50g
生クリーム(脂肪分40%以上) 200ml
ピスタチオペースト 30g(または抹茶 小さじ 2/3)
小粒いちご 7個

<下準備>
オーブンは100℃に温める。紙に直径16cmの円形を描き、円弧の内側に直径約3.5cmの円形を10個描く。別の紙に直径3cmの円形を4個描く。この紙を天板に敷き、その上にクッキングシートを敷く。

<作り方>
1.  油気も水気もないボウルに卵白を入れ、ハンドミキサーで混ぜ、粗く泡立ったら、グラニュー糖を3回に分けて加え、角がピンと立つまで泡立てる。粉糖を加え、ゴムべらで粉気がなくなるまでさっくり混ぜる。

2. ①を6切星形口金(直径1.3cm程度)を付けた絞り袋につめて、クッキングシートの下の円形に収まるように内側から外側に向かって渦巻き状に丸く絞る。直径16cmの円形バラ2個と4輪のバラ2個を絞る。オーブンで水分が飛ぶまで1時間30分程度焼く。完全に冷ます。

3. いちごはへたを取り、縦半分に切る。

「4輪×10個でも40th、10輪のリース×4個でも40thになりますね。ケーキに組立てず、焼きっぱなしのメレンゲにホイップクリームとベリーを添えても」と福田さん。

4. ピスタチオクリームを作る。ボウルにピスタチオペーストを入れ、ダマにならないよう少しずつ生クリームを加え混ぜ、ハンドミキサーで8分立てにする。クリームの9/10を6切星形口金(直径1.3cm程度)を付けた絞り袋に詰め、残りを幅 1cm程度の葉口金を付けた絞り袋に詰める。
※ピスタチオペーストの代わりにふるった抹茶粉(小さじ2/3)を混ぜてもおいしくいただけます。

5. 皿に円形バラを置き、花の上に④を円形に絞る。クリームの真ん中に③をのせ、その上にも④を絞り、円形バラを重ねる。4輪のバラも同様にして重ね、円形バラの中に置く。葉口金で葉っぱを絞る。

                                     

菓子研究家・福田里香さん×バイヤー奥西彩 おいしいトーク

「お菓子でふり返るアフタヌーンティーの原点」

手軽な材料が絞りの技でハレのケーキに

奥西彩(以下、奥西):本やインスタグラムなどで拝見していて、福田さんの料理は見た目はどれも芸術的な仕上がりですが、例えば、今回なら、ピスタチオがなければ抹茶でも構いませんというようにアレンジに余白があるので、これなら家にあるから作ってみよう、たまには料理を頑張ってみようと、やる気にさせてくださいます。レシピを考える上で、どういうことを意識されていますか。

福田里香(以下、福田):1980年代当時、渋谷パルコの1号店でお茶するのは憧れでした。私にとってアフタヌーンティーは英国式クリームティーの印象です。今でもお店のレイアウトを描けるほど、どんな絵がかけられ、どういうペンダントライトだったかもよく覚えています。そういうインテリア雑貨やテーブルウエアをおしゃれなヨーロッパの食文化とともに発信していました。今回は、その40周年の節目ということと、アフタヌーンティーという名前の通り、イギリスのティータイムに関連づけ、イギリスの花であるバラをメレンゲの絞りで表現するケーキにしました。絞りは一見難しいですが、少し練習したらできるようになるので、作れるようになっておくと、お祝いごとや贈りものとしてお菓子を作るときに応用できると思います。

奥西:バラのモチーフは華やかですしね。私もメレンゲの絞りを練習してみたくなりました。

福田:材料も卵白とお砂糖、生クリームに色と味をつけるためのピスタチオや抹茶、いちごだけなので実は手軽です。なんなら白いままメレンゲと生クリームだけでも十分おいしいし、果物は何でも好きなものを合わせてください。

メレンゲを作った後の卵黄の活用法

奥西:メレンゲを作ったときに余ってしまう卵黄のおすすめの使い道はありますか?

福田:卵黄はお醤油をかけて醤油漬けにするのがおすすめ。そのまま置いておくと菌が繁殖しやすいので、分けたらすぐ醤油をかけて冷蔵庫に入れておけば、多少日持ちもしますし、ご飯にかけて食べるとおいしいんです。または、リッチなカスタードソースを作って、メレンゲに添えて両方お菓子にするのもいいかもしれません。

奥西:副産物の活用法も一緒に教えていただけるのは嬉しいです。以前、雑誌で紹介されていた、赤ワインのいちごジャムでも煮ている途中に出てくるアクを取っておくと、ムースのようなふわふわの仕上がりになるので、それをアイスやヨーグルトにかけることも提案されていて、すごい発見だと思いました。

福田:果物のアクはえぐみが出ているわけではないので、アクを取らずに混ぜ込んでもいいぐらいなんです。

奥西:二度おいしい感じで得をした気分になりますね(笑)。

<手前>自ら撮影まで手がけたという『新しいサラダ』(KADOKAWA)<奥>『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局)

料理のインスピレーションはどこから?

奥西:福田さんの料理で、うずらの卵をピンクにしていたサラダがありましたが、こういう発想はどうやって生まれてくるのですか? ピンクのワントーンの料理を作ろうと思って、実現できそうな食材を後から考えるのでしょうか?

福田:色から作ってみたいと思うことはあります。真っ白やピンクにしたいとか、グリーンでまとめたいとか。または凍らせる、常温、焼くなど温度を考えます。料理本を作るときは、食材がいちじくの1テーマなら、生のまま、焼く、異素材と合わせる、煮る、漬け込むといった手法をまず書き出し、そこから焼くならパウンドケーキ、煮るならジャムやコンポート 、漬け込むならお酒かお酢かというように、さらに具体的に考えていきます。野菜は季節を追って、1月から12月までの旬の野菜を書き出して、作っていくこともあります。

ここが違う、ATELIER TETEシリーズのこだわり

奥西:今回、使っていただいたプレートはホワイト以外のブルー、ベージュ、ピンクの3色はアフタヌーンティーの別注カラーで、どんなお料理にも合わせやすい色味になっています。色物の食器に少し抵抗を感じているお客様でも取り入れやすいですし、普段使いから、素敵なお菓子を盛り付けたり、ハレの場面まで幅広いシーンで使っていただけると思います。

福田:グレーを帯びたカラーがきれいで、ピンクは本当に桜の花みたいに淡く、白はなんでもしっくりくる基本色ですし、どれを使おうか迷いました。メレンゲはそこまでヴィヴィッドな色のお菓子ではないから、こういう大人のパステルトーンにぴったりでうれしいです。

ATELIER TETE プレートL(直径23.5cm 高さ2cm)各¥2,530 プレートM(直径18cm 高さ2cm)各¥1,650

奥西:このシリーズは、成形の型に凹凸が入っているため釉薬の溜まりができ、色の濃淡が生まれることで、手びねりで作ったような表情なのが持ち味です。美濃焼の産地の中でも薄手の磁器で、優しい透明釉が得意な窯元さんで作っていますが、そこにしかできない仕事だと思います。大きいほうは、直径23.5cmで高さも2cmほどあるので、朝食のワンプレート、パスタやハンバーグと副菜を盛り付けたりするのにちょうどいいサイズです。いわゆる洋食器のようなしっかりしたリムではなく、さりげない立ち上がりなので、メレンゲのリースと合わせてもトゥーマッチにならずよかったです。

福田:お店とは違うので、あまり大きくてもご家庭の食器棚に収まらなかったり、テーブルにのりきらなかったりしますよね。小さめの取り皿と大きい盛り付け皿の2サイズは、それぞれ汎用性があって使いやすそうです。

奥西:そうですね。小さいほうは取り皿にちょうどいい直径18cmなので、小分けにしたケーキから菓子パン、トーストまで使い勝手はいいと思います。他にもサイズ違いのボウルやライスボウルもあります。

ATELIER TETE ボウルM(直径18.5cm 高さ5.5cm)各¥1,870 ボウルS(直径13.5cm 高さ4.5cm)各¥1,320

お料理と相性のいい器の選び方

奥西:お料理を盛り付ける器を選ぶときのポイントはありますか?

福田:作ってから決めることが多いです。逆にできてみないとわからないというか。メレンゲケーキも最初は絶対ピンクだと思っていたんですが、真っ白に焼き上がるわけではないので、実際にのせてみたら色が似過ぎてしまい、ブルーのほうが引き立つように感じました。だけど、メレンゲの上にフリーズドライのいちごをパウダー状にして振りかけたら、赤が加わって彩度に差が出るのでピンクでもバランスがいい。やはりのせたお菓子やお料理があまり沈まないように、見た目の彩度や明度は気にします。この器はグレーがかっているので、お料理を引き立ててくれそうです。

メレンゲケーキの上にフリーズドライのいちごパウダーを振りかけ赤味を添えると印象が変わります。ATELIER TETE プレートM ピンク(直径18cm 高さ2cm)各¥1,650

奥西:メレンゲに挟んだピスタチオクリームのちょっとくすんだグリーンとの調和もいいですよね。カラー展開に新しくピスタチオカラーがあってもいいんじゃないかなと、来年のインスピレーションをいただきました。ブランドのアイデンティティでもあるティータイムを楽しむためのテーブルウエアもそうですが、今後いろいろな器を開発していきたいと思います。

                                                        

Photographer:Machiko Odan

                                                              

※写真撮影時以外はマスクを着用し、十分な距離を保ち安全に考慮しております。


この記事を書いた人
Buyer Aya Okunishi
Buyer Aya Okunishi

ダイニングシーン担当バイヤー。調理師免許を持ち、レストランでの勤務経験もあり。得意料理はトマトソースパスタ、趣味はジャムなど保存食づくりと器集め。旬の食材や料理を思い浮かべ、器との組み合わせを考えながら商品開発を行う。日本の産地の素晴らしい技術や経験が受け継がれるよう、ストーリーのある商品をお客様にお届けすることを使命としている。 このコラムは奥西がずっとお会いしてみたかった憧れのフードクリエイターにお話を伺っていく連載企画です。

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